2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧

長江にいきる 秉愛(ビンアイ)の物語(馮艶監督)

26日(木)ユーロスペース最終回にて鑑賞。長江・三峡ダム建設に伴い、移住させられた農婦・秉愛を七年間に渡って追ったドキュメンタリー映画。 中盤、村の溜まり場のようなところに集まった村人たちが、土地の分配の仕方について激しく議論を戦わせる場面…

『スワンプウォーター』(ジャン・ルノワール監督)

DVDにて鑑賞。 ジャン・ルノワール監督が戦火のパリを逃れ、ハリウッドに渡って撮った作品。ジャン・ルノワールという固有名で我々が記憶している“らしさ”はそのフィルムのどこにも刻印されていない。仮に監督名を伏せられ、見た後で言い当てろと言われて…

『青髭八人目の妻』(エルンスト・ルビッチ監督)

こちらもDVDで何度目かの鑑賞。 『生活の設計』と同様、ゲーリー・クーパーが出演。エドワード・E・ホートンという俳優も出ており、『生活の設計』ではヒロイン・ジルダを愛する、結局当て馬のようにされてしまう広告代理店社長の役を演じていたが、こち…

ジャンプカットについて

最近の映画でしばしばジャンプカットという手法をよく目にするになった。ジャンプカットとはウィキペディアによると、「画面の連続性を無視して、カットを繋ぎ合わせること」ごくと簡単な説明がなされている。 私個人の理解では、同一カットを途中で抓んで、…

『生活の設計』(エルンスト・ルビッチ監督)

ルビッチの『生活の設計』をDVDで再見。 ルビッチの映画を称して艶笑喜劇、ソフィスティケーティッド・コメディなる謂われ方がするが、そもそもこの言葉の意味って何だろうか。艶笑喜劇、艶っぽい笑い?ソフィスティケーティッド・コメディ、洗練された笑い?…

『リスボン物語』(ヴィム・ヴェンダース監督)

1995年製作だが、昨年の暮れにDVDで発売され、ツタヤの棚に並んでいたのを発見し、即レンタル。 まず数々のヴェンダース映画で、長髪を靡かせていたリュディガー・フォーグラー(『さすらい』、『ことの次第』、『都会のアリス』など)が見る影もなく…

『日本 vs 韓国』(WBC一次ラウンド決勝)

球数制限というシステムは面白い。 一次ラウンドでは「70球」、二次ラウンドでは「85級」、準決勝、決勝では「100球」と徐々に増えていくということだが、一投手がその試合で投げられる球数に制限が加えられるというわけだ。主力選手を借り出される球…

メディアの時代に生きる

ところで今、取り立てて私が言うまでもなく、“一億総表現者の時代”と言われて久しい。つまり、ブログやYou Tubeといった各種コミュニケーションツールの発達や映像・音楽機器の低廉化によって誰しもが小説やコラムを書いたり、映画・音楽を作って世に発信で…

『アフタースクール』(内田けんじ監督)

『アフタースクール』をDVDにて。 前作『運命じゃない人』で同じ一夜の出来事を異なる三者の視点から描き、その都度、驚きと笑いを誘発してくれた内田監督が、今度はどんなトリックで観客を欺いてくれるのかと期待して鑑賞。期待に違わぬ精緻な造りで、ア…

『アデルの恋の物語』(フランソワ・トリュフォー監督)

『アデルの恋の物語』をDVDにて鑑賞。 一昨年の東京フィルメックスで万田邦敏監督の『接吻』が上映された際、主演の小池栄子が手紙を書くシーンは『アデルの恋の物語』を下敷きにしていると万田監督がおっしゃっていたが、確かに劇中、アデルは終始その内…

『ベンジャミン・バトン』(デビット・フィンチャー監督)

デビット・フィンチャーの作品は実は今回が初見である。 デビット・リンチ、デビット・クローネンバーグ、デビット・フィンチャーと、ファーストネームにデビットを冠する監督は、なぜかくも一癖もふた癖もある人物ばかりなのだろう。(昔、ジャン・ジャック…